発達障害とは?雇用する上で知っておくべき障がい特性と対処方法をご紹介

発達障害とは?雇用する上で知っておくべき障がい特性と対処方法をご紹介

発達障害のある方を雇用したものの、「本人の実力を出し切れていないように感じる」と感じられる方は、ぜひこの記事をご覧ください。大人の発達障害の具体的な症状や一緒に働く上での配慮の仕方をご紹介いたします。

発達障害とは?

発達障害とは、生まれつき脳の発達に偏りがあり、行動面や情緒面などにおいて障がいがある状態を指します。後述する何らかの特性がありますが、人によって症状の表れ方は違い、日常生活に影響を及ぼす場合もあれば、本人も周りも気づかずに過ごすこともあるようです。
子供の頃は特に問題なく過ごせていた方も、大人になると職場での「生きづらさ」や「困りごと」を感じ、悩むことがあります。

発達障害の症状

発達障害はその特性によって、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、自閉スペクトラム症(ASD)、学習障害(LD)の3つに分けられ、症状は異なります。
また、同じ診断名でも症状は個人差があるため、その人の症状をしっかり把握し、適切な治療や支援を行う必要が。以下でそれぞれの症状の例をご紹介します。

注意欠如多動性障害(ADHD)の特性と原因

注意欠陥・多動性障害(ADHD)には、「不注意」「多動性」「衝動性」という3つの症状が見られます。

不注意

不注意な症状として、以下の内容が挙げられます。

・長時間集中力が続かない
・時間や期限を守れない
・物事を順序立てることができず、最後までやり遂げられない
・忘れ物が多く、物を無くす

多動性

多動性は、下記の内容が当てはまります。

・じっとしていられず、そわそわと手足を動かす
・長時間座っていられない

衝動性

衝動性についても確認しておきましょう。

・話しすぎてしまうことが多い
・衝動買いをしてしまう
・感情的になりイライラしやすい

上記のような特徴が見られ、日常生活に支障をきたし、生きづらさを感じてしまうことがあります。

ADHDの原因

原因ははっきりとわかっていませんが、生まれつき脳に機能的な障がいがあると考えられています。
現在の研究でわかっているのは、脳内の神経伝達が乱れており、「ドーパミン」や「ノルアドレナリン」の働きが低下していることが原因と言われています。

自閉スペクトラム症(ASD)の特性と原因

自閉スペクトラム症には、コミュニケーションがうまく取れず対人関係を築くことが苦手、興味があるものが限定される、強いこだわりを持ってしまうといった特徴があります。

対人関係の問題

対人関係においては、以下のような症状が出ることが多いです。

・他人と目を合わせられない
・相手や状況に合わせて行動することが苦手
・言葉を文字通りに解釈してしまう
・相手の気持ちを汲み取るのが苦手

限定的な興味

興味・関心のあることに対してのみ、行動的になる傾向があります。

・特定の物事に対してだけ強い関心を持つ
・関心を持った分野に関してだけ桁違いの知識を保有する

こだわりの強さ

関心のある物事に対するこだわりが強いのも、自閉スペクトラム症の特徴です。

・決まったやり方にこだわる
・いつもと違うイレギュラーな出来事に対応するのが苦手
・些細なことでも、気になると作業を進められない

ASDの原因

ASDについても原因ははっきりとわかっていませんが、先天性の脳の障害と言われており、遺伝子要因や環境要因が複雑に絡み合って起こると考えられています。

なお、自閉スペクトラム症は、もともと「自閉症障害」「アスペルガー障害」「特定不能の広汎性発達障害」「小児期崩壊性障害」という診断名に分かれていました。しかし、2013年にDSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)が発行され、「自閉スペクトラム症(自閉症スペクトラム障害)」という1つの診断名にまとめられたという経緯があります。

学習障害(LD)の特性と原因

学習障害は、知的発達や視覚・聴覚に問題はありませんが、話す・聞く、書く・読む、計算など特定の分野で学習の遅れが出る状態を指します。

読字障害(ディスクレシア)

文字を正確に読むことが困難で、読めたとしてもぎこちない症状です。
また、読解力が低いこともあります。

書字表出障害(ディスグラフィア)

文字の大きさを揃えられない、マス目に沿って文字を書けないといった症状です。
また、鏡文字になってしまったり、助詞(てにをは)をうまく使いこなせなかったりします。

算数障害(ディスカリキュア)

数字の感覚をつかめず、数値を覚えるのが苦手です。
読み書きは問題なくできますが、計算や推論ができず、数字の概念が理解できないという症状があります。

LDの原因

学習障害の原因も研究中ですが、現段階では目・耳・皮膚といった感覚器官からの情報を受容・整理する脳機能が、機能障害に陥っていると考えられています。

発達障害の方と働く上で必要な配慮とは?

発達障害の方と働くには、その人にあった配慮が必要となります。ときにはその人がどんな配慮を求めているのか、直接確認することも大切です。
ここでは職場で配慮したいポイントについてご紹介します。

注意欠如多動性障害(ADHD)の配慮事項

ADHDの方は1つのことにずっと集中し続けることが苦手なため、気が散ってしまったり、ケアレスミスが多くなったりすることが。これらを防ぐためには、下記のように配慮すると良いでしょう。

・業務中に休憩時間を設け、リフレッシュする時間を作る
・人の動きが見えづらい席を用意する、パーテーションを設置するなど、気が散らない工夫をする

また、入社して初めの頃は慣れない環境で緊張していたり、一度のミスで不安感が強くなったりして、ミスを繰り返す可能性があります。慣れるまではダブルチェックを行うと、安心して業務を進めてくれるでしょう。

自閉症スペクトラム(ASD)の配慮事項

社会的コミュニケーションや対人関係が苦手なため、業務連絡においてトラブルが発生する可能性があるでしょう。以下の点に注意することで、無用なトラブルを避けられます。

・情報を伝える時は抽象的な表現を避け、なるべく具体的に伝える
・威圧感が苦手なため、肯定的な伝え方をする
・口頭だけではなく、マニュアルや写真など視覚的に入りやすい情報で伝える

また、音や光などの感覚過敏がある場合もあります。
そのようなときは耳栓やイヤーマフ、サングラスの使用を許可しましょう。

学習障害(LD)の配慮事項

学習障害の方が苦手としている、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」をカバーできる方法で対応することが必要です。下記のような、本人の理解力を補うことのできる方法が有効でしょう。

・読むのが苦手な方には、口頭で指示を出す
・書くのが苦手な方には、メモや情報機器を活用して情報を伝えてもらう
・事前に伝えたい内容をまとめておいてもらう
・本人が理解できるまで繰り返し確認を行う
・時計が理解できない場合は、タイマーを使う

このように、本人が苦手としている内容のフォロー体制を築いておくと、本来の実力を十分に発揮してくれる可能性が高まります。

まとめ

一緒に働くのが難しいという印象を持たれることも多い発達障害ですが、本人の特性を理解し、その人にあった配慮を意識することで、その人が持つ能力を発揮し戦力となってくれます。
ワークリアでは、障がいのある方への適切な配慮や環境整備など、人材の活用に役立つ支援を実施。人材でお悩みの企業様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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