適応障害とはどのような障がい?うつ病との違いや働くうえで必要な配慮は?

適応障害とはどのような障がい?うつ病との違いや働くうえで必要な配慮は?

適応障害を持つ方の採用を検討している、もしくは採用した企業に向け、障がい特性や業務上で必要な配慮について解説します。適応障害との判別が難しい「うつ病」の概要も載せているので、あわせて参考にしてみてください。

目次

適応障害とは

適応障害とは、環境の変化に上手く適応できないことによるストレスで、抑うつ気分や不安感、焦燥感、意欲低下、不眠などの症状が現れる障がいを指します。
適応障害の主な原因は、転勤や異動、引っ越しなどによる「職場環境および人間関係の変化」、結婚や離婚などによる「生活環境の変化」です。他人にはストレスに感じられないことでも、その人にとってストレスであれば、適応障害の原因になり得ます。きっかけとなる出来事から3ヶ月以内に発症し、ストレス環境から離れると概ね6ヶ月以内に緩和する場合が多い点も特徴です。

適応障害とうつ病との違い

適応障害とよく間違われやすい障がいに「うつ病」があります。適応障害とうつ病の大きな違いは、「明確なストレスがあるかどうか」です。抑うつ気分や意欲低下、不眠など、同じような症状があって判別が難しい場合は、以下の表を参考にしてみてください。

 適応障害うつ病
原因明確なストレスの原因がある明確なストレスの原因がないことが多い
発症時期ストレスを感じて概ね3ヶ月以内に発症する慢性的なストレスにより、
気付いたら発症していることが多い
緩和傾向ストレスから離れると、
概ね6ヶ月以内に症状が緩和する
ストレスから離れても症状がすぐに緩和しない
気分の落ち込み毎日気分が落ち込むわけではなく、
楽しいことは素直に楽しめる
一日中気分が落ち込む状態が2週間以上続き、楽しいことがあっても気分が上がらない

適応障害はストレスの原因が明確なので、ストレスを取り除けば基本的に症状が緩和しますが、うつ病の場合は、適応障害のように一筋縄ではいきません。
たとえば、ストレスの原因が「職場環境」だと明確に分かっている場合は、適応障害である可能性が高いため、体調を崩して仕事を休んだとしても、友人と遊ぶときには元気になるでしょう。しかし、うつ病の場合は、友人と遊んでも気分の落ち込みが緩和されないどころか、遊ぶことさえ憂鬱に感じる場合があります。

適応障害がある方と働くうえで必要な3つの配慮

適応障害がある方を雇用した場合、基本的には一般雇用の社員と同様に接して問題ありません。ただ、次の3つは最低限対処できるようにしておきましょう。

1.定期的な面談

適応障害がある方とは、定期的に面談を行いましょう。
先述のとおり、適応障害はストレスの原因が明確です。しかし、障がい者雇用で入社し、新しい環境で働くとなれば、別のストレスが出てくる可能性もあります。そのため、「ストレスになっていることはないか」「自分で対処できそうか」などを定期的に確認し、雇用者が快適に働けるようにサポートしましょう。

2.職場環境の調整

雇用者が耐え難いストレスを感じている場合は、職場環境の調整を検討しましょう。ただ、すべてのストレスに対して環境を調整する必要はありません。「雇用者自身で上手く対処できないストレス」に絞って対処しましょう。

3.体調に合わせて業務量や業務時間の調整

抑うつ気分がひどく、体調が優れないときに無理に業務を任せてしまうと症状悪化につながる可能性があります。本人の体調に合わせて、業務量や業務時間を調整できる環境を整えておくと良いでしょう。また、本人が体調不良であることを発信しやすい雰囲気や仕組みづくりも大切です。

適応障害を持つ方への対応で注意すべき3つの点

適応障害がある方を雇用するにあたって、業務中の対応で注意すべき点を以下にまとめました。なお、適応障害以外の精神障がいを持つ方にも当てはまることが多い項目となっています。

1.「声を掛けるだけ」はNG

適応障害を持つ社員が疲れていそうだと感じたとき、「大丈夫?」と声を掛けるだけで対処を終えてはいけません。本当は疲れているのに遠慮して「大丈夫です」と答える社員もいるからです。疲れていそうであれば、少し休憩を取ってもらったり、勤務時間を調整したりするなどの対処を取りましょう。

2.自分の価値基準で判断しない

適応障害の社員は、体調によってパフォーマンスが大きく低下してしまうこともあります。そんなときに、自分の価値基準で「なぜこんなこともできないのか」「このくらいできるだろう」と判断すると、社員の症状を余計に悪化させてしまうことに。そのため、社員一人ひとりの能力に合わせて価値基準を設定するように心掛けましょう。

3.自分だけで何とかしようとしない

適応障害がある方を雇用したあとは、自分一人の力で何とかしようとするのは避けましょう。ほかの社員に現状が共有されず、誤った対処法を取ってしまう恐れがあります。個人的な相談は別ですが、適応障害がある方に快適に働いてもらうためには、組織全体でのフォローが有効です。

まとめ

適応障害の主な原因は「ストレス」ですが、何をストレスに感じるかは人によって異なります。適応障害の理解を深めたうえで、今まで取り組めていない対処方法があれば、ぜひ取り入れてみてください。
ワークリアでは、障がい者雇用を検討している企業さまに向けたサポート全般を行っています。「適応障害を持つ方を雇用したものの、適切な対処法が分からない…」という企業さまはもちろんのこと、「まずは話だけでも聞いてみたい!」という企業さまも、ぜひお気軽にご相談ください!

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