てんかんとは?雇用する上で知っておくべき、障がい特性と対処方法をご紹介

てんかんとは?雇用する上で知っておくべき、障がい特性と対処方法をご紹介

てんかんは他の障がいとも種類が異なるため、具体的な症状や対応方法が分からず雇用に踏み出せない人事担当者もいるのではないでしょうか?このコラムでは、てんかんの種類や症状、職場での対応方法についてご紹介します。誰もが安心できる職場づくりにお役立てください。

目次

てんかんとは?

てんかんとは、突然意識を失ったり痙攣したりするなどの発作を繰り返し起こす脳の病気です。
脳の神経細胞が過剰な電気活動を起こすことが原因で起こります。発作は数秒~数分で収まり、5分以上続くことは少なめ。発作後は、通常の状態に回復することが特徴です。
なお、この発作は「てんかん発作」と呼ばれます。

てんかんの症状

てんかんには種類があり、発作の症状もそれぞれ異なります。

てんかんの種類と原因

てんかんは発作の分類と原因の有無の組み合わせで、発生する症状に違いがあります。
発作は、電気活動が起こった部位や広がり方によって分類。電気的な興奮が脳の一部からはじまるものが部分発作、脳の全体から一気に起こるものが全般発作です。
また、脳に何らかの障がいや傷があり、原因があるものを症候性、検査をしても脳に異常が認められず原因が不明なものを特発性と呼びます。
下記の表では、それぞれの種類の要約と特徴を記しました。

てんかんの種類と特徴
 特発性症候性
部分
脳のある部分から発作がはじまる
特発性部分てんかん症候性部分てんかん
・小児期に多く発症する
・脳に損傷はなく、年齢に関係して発症する
・大半が成長とともに自然に治る
・年齢に関わらず発症する
・脳の損傷(異常)に基づくてんかん
・発症の原因がはっきりしている
(脳炎、髄膜炎、脳出血、脳梗塞、脳外傷、アルツハイマー)
・薬物療法が効きにくく、発作の抑制がしにくい
全般
脳の全体で一気に発作が起こる
特発性全般てんかん症候性全般てんかん
・主に小児期~若年期に発症する
・脳に損傷がなく、発症の原因が不明
・一部に遺伝的要素も含む
・ほかの神経症状がなく、意識を失うことが多い
・手足のまひや脳の障害などの異常はみられない
・薬物療法を続ければ発作は起こりにくい
・新生児期または乳児期に多く発症する
・特発性全般てんかんより発症年齢が早い
・脳に広範囲な損傷がみられる
・発作の回数が多い
・知的障害を認めることがある
・薬物療法をしても発作が止まりにくい

てんかんは、乳児から高齢者までどの年代でも発症する障がいですが、特に乳児や小児など小さなうちに発症することが多いようです。

発作の分類

てんかんの発作は部分発作と全般発作に分けられ、その中でも種類によって異なる症状が現れます。

発作の分類
部分発作
発作の種類特徴主な症状
単純部分発作・発作時に意識がある
・発作中の症状の記憶がある
・吐き気
・腹痛
・嫌なにおいがする
・目がチカチカする
・身体の一部が勝手に動く など
複雑部分発作・一時的に意識がなくなる
・発作中の症状の記憶がない
・突然意識を失う
・口をクチャクチャさせる(自動症)
・手足をモゾモゾさせる(自動症)
・急に大声を出す
・身体を激しく動かす など
発作の分類
全般発作
発作の種類特徴主な症状
強直間代発作・突然意識を失い、全身が硬直する
・意識障害が数秒~数十秒続く
■強直発作
・突然意識を失う
・呼吸が止まる
・全身が硬直する

■間代発作
・手足が痙攣する
欠神発作・一時的に意識がなくなる
・意識障害が数秒~数十秒続く
■定型欠神発作
突然意識が途切れて、素早く回復する

■非定型欠神発作
意識障害に加えて以下のような症状が現れる
・舌なめずり(自動症)
・手を揉む(自動症)
・ミオクロニー発作
ミオクロニー発作・発作時に意識がある
・小児期~思春期発症のてんかんに多くみられる
・瞬間的な発作で自覚することが少ない
・何度か発作を繰り返すことがある
・全身あるいは身体の一部がピクっと痙攣する
点頭発作・発作時に意識がある
・乳児期に発症する
・何度か発作を繰り返すことがある
・頭部が前にガクンと倒れる
・両脚が屈曲する
・両手を振り上げる
脱力発作・突然意識がなくなる
・意識障害が数秒で短い
・全身の力が急に抜け、崩れるように倒れる

このように人によって症状が異なるため、どのような発作が起こりやすいかを本人に確認しておくことが大切です。

てんかんの方と働く上で必要な配慮とは

ここでは、てんかん発作に対応したいものの、何を準備すべきかわからない方のために、比較的取り入れやすい対処方法をご紹介します。

事前準備

事前に準備をしておくことで、ケガや事故を防げます。

てんかんの状況を把握する

てんかんの種類や発作時の症状は人によって異なるため、本人が理解している範囲で状況を確認しておきましょう。最終発作の時期や具体的な症状などを事前に確認しておくことで、その後の対応も変わります。

発作時のマニュアルを作成する

発作が起きた際に、最初にすべきことや連絡先など、誰が見ても対応ができるものを作成しましょう。マニュアルがあれば、急な状況にも対処できて安心です。

転倒時の備え

発作で突然意識がなくなった際に転倒することが多いため、転倒時の備えをしておきましょう。
クッションを座席近くに用意したり、座席周りの床に柔らかい素材のマットを敷いたりするなどの備えがあれば、怪我の防止に繋がります。

服薬時間の確保

てんかんの治療法は、薬物療法がメインです。一度の飲み忘れで発作が出ることもあります。業務に追われて服薬できないということが起こらないよう、服薬の時間は確保しましょう。

発作後の対処方法

万が一発作が起きた際のことも考え、発作後の対応についても事前に確認しておくと安心です。

休憩スペースの確保

発作後は身体に負担がかかり、精神状態も不安定になりやすいです。ゆっくり休憩できるスペースを確保すると、本人も落ち着けます。

発作時の状況を記録する

次発作が起きたときに迅速に対応するために、発作時の状況を記録しておくと良いでしょう。発生時の環境や天候などを記録しておけば、発作が起こる予兆や条件を整理できます。

まとめ

てんかんにはいくつか種類があり、発作時の症状も異なります。発作の影響で怪我をする恐れも多い病気のため、職場全体のフォローが欠かせません。てんかんの社員が安心して働けるように、対応方法を見直してみてください。
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