知的障害とは?雇用する上で知っておくべき、障がい特性と対処方法をご紹介

知的障害とは?雇用する上で知っておくべき、障がい特性と対処方法をご紹介

知的障害という言葉は知っていても、具体的に説明できる人は少ないのではないでしょうか。このコラムでは、知的障害の特徴や可能な業務、雇用する上で必要な配慮をご紹介します。知的障がいのある方も活躍できる職場づくりをしたい方は、参考にしてください。

目次

知的障害とは?

知的障害とは、読み書きや計算などの知的能力や、学校生活、社会生活へ適応する能力に制限がある障がいを指します。また、厚生労働省では「発達期(おおむね18歳まで)に生じる」と定義されており、それ以降知的能力に制限がある状態になった場合は知的障害と呼ばないのも特徴です。

判定基準と分類

知的障害の程度は、知能検査によって知能指数を算出。知能指数によって、軽度、中度、重度、最重度の4つに分類されます。

知能指数(IQ)種類(程度)
Ⅰ(IQ~20)最重度知的障害
Ⅱ(IQ21~35)重度知的障害
Ⅲ(IQ36~50)中度知的障害
Ⅳ(IQ51~70)軽度知的障害

なお、現在は、知的能力だけでなく環境への適応能力も踏まえて判断されるようになっています。

交付される手帳

知的障害のある方に交付される手帳の種類は、療育手帳です。知的障害者更生相談所や児童相談所で判定された場合に交付されます。地域によっては愛の手帳(東京都)やみどりの手帳(埼玉県)と別称で呼ばれることもあるので、該当地域の療育手帳名については確認しておきましょう。

知的障害の特徴

知的障害は、読み書きや物事の理解、深く考えるなどの知的能力や、感情の抑制、コミュニケーション能力などの社会生活への適応力が弱いという特徴があります。

知的能力

幼児期では、同年代に比べて言葉の数が少ない、複雑なルールのゲームについていけなくなるなどの様子が見られることがあります。また、小学校以降の学校生活では、学習において理解に時間がかかることも。場合によっては、個別対応を行うといった支援が必要なこともあります。

社会人生活においては、業務上の指示が理解できない、応用が効かず同じ様な質問を何度も繰り返してしまうなど、物事に対する深い理解が必要な場面で困難を生じることが多いです。
しかし、軽度であれば日常生活では問題なく、知的障害であることに気が付かずに生活している方も一定数いるとされています。

社会生活への適応

コミュニケーション面においては、言葉で具体的に伝えないとわからないことがあります。特に職場内での「暗黙の了解」など、雰囲気や言語化されてないルールを察することが苦手です。会社の守るべきルールについては、マニュアルやメモとして言語化し、本人と一緒に確認する場があるとお互いの理解がスムーズに進みます。
また、自分の気持ちを言語化して話すのが苦手なことも特性の一つ。話しているうちに何を伝えたいのか分からなくなってしまったり、うまく言葉がまとまらなくなってしまうことがあります。その場合は、内容を順を追って確認するというように、本人が話の内容を整理しやすくするとスムーズに話せるようになります。

知的障害のある方と働く上で必要な配慮とは


知的障害のある方への配慮としては、簡単かつ具体的な言葉でゆっくり話をする、細かな確認をする、コミュニケーションや決断が重要な業務は避けるなどが挙げられます。

口頭での大量の指示を避ける

たくさんの情報を一度に処理をするのが苦手なため、一度に大量の話をするのは避けましょう。作業の説明であれば工程ごとに区切って話をする、メモをとる時間を設けるなど、本人の理解のスピードに合わせて説明する工夫が必要です。

文字や図を使って説明をする

口頭だけでなく、マニュアルや図を使い、より具体的にイメージできるよう工夫しましょう。同じ知的障害でも、人によって理解度は異なります。その人の理解しやすい方法に合わせて説明の方法を工夫すると、より深い理解に繋がりやすいです。

抽象的な話は具体例を使ってイメージしやすくする

仕事をする上で、抽象的な話をすることは避けられません。可能な限り、具体的な例を用いて話すように意識をしてみてください。本人の趣味や過去にやっていた部活など、理解のしやすい分野を例にすると、経験を通してイメージがしやすいのでおすすめです。

工程ごとに理解できているかを確認する

工程ごとに「ここまでは理解ができましたか?質問はありませんか?」と確認をすると確実です。本人は「理解できていない部分を自覚できてない」こともあるので、「ここまでの説明を復唱してください」というように説明をしてもらいましょう。理解できていないところと理解できているところが明確になります。

一通り説明を終えたら、実際に作業を見せたり、本人にも一部やってもらったりするなども有効です。できていない場合や分からないことがあった場合に、「説明したよね」と萎縮させる言葉を言うのは避けましょう。根気強くゆっくり丁寧に指導するという意識を持ってください。

コミュニケーション能力が求められる業務は避ける

電話対応や接客、営業など、瞬発力・コミュニケーション力が求められる業務は苦手な方が多いようです。臨機応変な対応が求められる業務は避けたほうがいいでしょう。

まとめ

知的障害だからとひと括りにせず、本人の知的能力や環境への適応能力などを考慮して業務の内容を考えることが必要です。本人の得意な部分を見つけ、活躍できる仕事を任せてみてください。結果が出るまで時間がかかることがありますが、特性を理解し長い目で見ることが、活躍してもらう環境づくりの第一歩となるでしょう。
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