平等な制度や評価で障がい者雇用を戦力化する

平等な制度や評価で障がい者雇用を戦力化する

アステナグループの特例子会社であるアステナハートフル株式会社。特例子会社でありながら、独自の就業規則を設けずフラットな目線で社員を評価し、障がい者雇用を戦力化させています。今回は、アステナハートフル株式会社の代表取締役社長の中越さん、障がい者雇用の管理や採用に携わる川島さん、松本さんにインタビューしました。

アステナグループ

持株会社であるアステナホールディングスを核としてファインケミカル事業、HBC・食品事業、医薬事業、化学品事業、ソーシャルインパクト事業の5事業の各社で構成されています。
さらにESG経営による持続的な成長を目指すべく新規事業への投資と育成にも取り組んでいます。

アステナハートフル株式会社

アステナハートフル株式会社は、アステナグループの業務サポート、ファシリティーサービスを提供する会社として、2021年6月1日にスタートしました。アステナグループ各社の円滑な営業遂行のための重要な基盤である総務・業務部門の現場を支えています。

中越さん

2023年の6月にアステナハートフル株式会社の社長に就任。アステナホールディングス株式会社(旧:イワキ株式会社)では主にドラッグストア向けの営業を30年程経験。

川島さん

アステナホールディングス株式会社(旧:イワキ株式会社)に入社後、薬の原料の販売を担当。その後、情報システム部、業務本部を経験後、異動したESG推進部の業務の1つに障がい者雇用の推進があり、アステナハートフル株式会社に出向。

松本さん

アステナホールディングス株式会社(旧:イワキ株式会社)ではドラッグストア向けのOTC商材の営業を2023年5月まで担当。アステナハートフル株式会社には2023年6月より異動。

障がい者雇用を始めたきっかけはありますか?

法定雇用率を達成するためということもありますし、それに満たない状況で社会的に貢献できていないことに企業として問題意識は持っていました。そこで、本格的に雇用に力を入れていく方針となったのが2019年です。
元々働いていた社員が病気になり障がい者手帳を取得したというケースはあったのですが、最初から障がい者手帳を取得している方を雇用したのは2019年が初めてでした。そして、グループ全体でもっと推進していくことを目的として2021年にアステナハートフル株式会社は設立されました。

どのようにして雇用を進めていったのでしょうか。

障がい者雇用を推進していく方針となったものの、当時は知識のある社員がいない状況だったので障がい者雇用についてのセミナーに参加をしたり、見学をさせてくれる企業に訪問に行ったり、情報収集から始めました。また、就業中に病気等になり障がい者手帳を取得した社員と面談をし、さらに支援機関に訪問し実際に障がい者手帳を取得している方と話をする機会を積極的に設けて知識をつけていきました。
そして、旧イワキには、社内の営業事務を集約している業務センターというものがあったので、まずはそこで障がい者の方を雇用していくことになりました。

どのような方針や方向性で雇用を進めていったのでしょうか。

旧イワキ時代から引き継いで当社は、障がいがある社員も障がいがない社員も平等と考えています。特例子会社だと、親会社とは別で就業規則や人事制度を作っていることも多いかと思いますが、当社は同様のもと雇用をしています。
なぜそうしたのかというと、障がいがある社員にもモチベーションを持って働いてほしいと考えたためです。評価されたい、仕事にやりがいを持ちたいという気持ちは障がいの有無問わずあり、親会社と同じ就業規則や制度で雇用したほうが仕事に前向きに取り組んでくれる社員も多いと思っています。

どのような方針や方向性で雇用を進めていったのでしょうか。の画像

業務はどのようなものをお任せしているのでしょうか。

業務に関しても、障がい者のために特別な仕事を用意するということはしていません。障がいを持っていない方を雇用することと同じ概念で、グループ内の事務部門で働く方と同種の業務をお任せしています。入社してから慣れるまでは難易度の低い業務や、得意な業務を担当してもらうという配慮はしています。

障がい者を雇用するにあたってグループ内から改めて事務業務を請け負うことも検討しましたが、軽作業や単純作業というものは少なかったのです。
精神障がい者の方は、いわゆる健常者と同じ能力を持っている方も多いと考えているので、面接をして当社の業務ができそうであれば雇用をしています。
ただ、今後、社内で単純作業の業務が発生した際は、雇用の幅も更に広げていけるのではないかと考えています。

実際に任せている業務の画像

図:実際に任せている業務
 

障がい者雇用を進めるなかで大変だったことはありますか?

同じ建物で働いているグループの社員には障がいがある社員も一緒に働いているという認識を持ってほしいと考えていたのですが、当社では障がい理解ができて配慮やフォローをすることができていても同グループの社員にまでそれを浸透させることが難しかったです。

どのように問題を乗り越えたのでしょうか?

障がい者雇用に関して可能な限り良い印象を持ってもらえるように全社員を対象にダイバーシティの研修を働きかけ、日々のポジティブな情報を小さなことでも社内に発信するようにしていました。

また、障がいの有無で社員を分けて接しない方針も良い方向に転じたと思っています。アステナグループでは、年に1度活躍した社員を表彰するアワードを開催しているのですが、当社の障がいがある社員が表彰され、実績について披露することができました。
グループ内で障がい者のイメージを良い方向へ変えることができたので、配慮やフォローに目を向ける社員も増え、その結果として障がい者雇用を推進することができたのではないかと思います。

どのようなことを成し遂げてアワードに選ばれたのでしょうか。

事務業務において複数の業務改善に取り組み、受賞に至りました。
例えば、データ入力を効率化するためにマクロを用いてツールを作成し、社内全体で使用した結果、大幅に工数の削減をすることができました。
また、月に1回程度勉強会を開催し、そこで学びを得た他の社員が新たな改善活動に取り組み、業務の効率化を図る行動を継続し行える体制を築いてくれました。

最後に、今後の展望について教えてください。

特例子会社ではありますが人材育成に力を入れ、社員がもっとスキルを上げられるようにしたいです。そして、障がいの有無を問わず平等に評価され、キャリアアップしていける会社でありたいと思っています。
当社での業務スキルを評価され、グループ内の別会社へ転籍した社員がいるのですが、そのように当社でスキルをつけてからグループ会社へ転籍しても活躍できる人材を増やしたいです。
就業規則や制度は親会社と同様ではあり、障がいの無い社員と同様のレベル以上で業務ができれば、キャリアップの可能性も出てくると思うので、グループの法定雇用率にも貢献しつつ、やりがいを持ち安心して働ける社員を増やしていきたいと考えています。
 

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