制度や仕組みを整え、社内全体に障がい者雇用を浸透させる

制度や仕組みを整え、社内全体に障がい者雇用を浸透させる

2023年度の障害者雇用エクセレントカンパニー賞東京都知事賞を受賞された株式会社ハピネット。当初はサテライトオフィスで雇用していたものを本社に移管し、社内全体に障がい者雇用を浸透させています。サポートスタッフが所属するチームでは、各事業部門から業務を受託しており、個々の特性を活かした業務マッチングを積極的に進めています。

株式会社ハピネット

株式会社ハピネットは、国内でトップシェアを誇る玩具の中間流通業を事業の中心とし、その他にもCD・DVD/ブルーレイ・ビデオゲーム・カプセル玩具・カードゲームなどエンターテインメントに関する、ありとあらゆる商品を世の中に届けています。

黒羽さん

サポートスタッフの主に労務まわりのサポートを担当。1988年に株式会社ハピネット(旧:株式会社トウショウ)に入社し37年間、主に営業仕入れ、スタッフ部門と多くの職域を担当。キャリアの終盤に向かうにつれて、元々関心の高かった障がい者雇用部門への異動を希望し就任。

森田さん

サポートスタッフの業務面のサポートを担当。約5年前に、同グループ会社より株式会社ハピネットに移籍し障がい者雇用担当に就任。

障がい者雇用が上手くいき始めたきっかけはありますか?

2014年に、障がい者雇用の機能を本社へ移したことがきっかけです。障がい者雇用は2008年に開始していましたが、本社とは別にサテライトオフィスを設けて雇用をしていました。それを本社の人事や総務等の管理部門で一緒に働いてもらい、より近くで社内他部署からの業務を請け負って対応する体制へと変えました。

サテライトオフィスで雇用し始めた理由は、本社とは別で専門的な支援を受けやすいサービスの方が障がいを持った方々が安心して働けるのではないかと考えたためでした。
しかし、本社から離れている場所での雇用となると、どのような業務を切り出すのか、どのように業務連携をすればよいのか、個々の能力や状況の把握が難しいという課題に直面しました。
更に、障がい者社員がハピネットの一員という意識が薄れてしまい、やりたいことや業務の中で目標を見出すことが難しく、安定した就労に繋がらないという課題もありました。

どのような方針や方向性で雇用を進めていったのでしょうか。

これは本社に機能を移した時から現在も大事にしていることですが、雇用率を達成するだけではなく、業務を遂行してもらい戦力となってもらうための雇用であるという方針です。やはり、一人ひとりが安定して就労し、活躍できる環境を目指すには業務があってこそだと思っています。ですから、サポートスタッフが活躍できる環境を作るために、対応できる業務を継続的に増やしていくことが大事だと考えています。

業務切り出しの際にした工夫はありますか?

雇用が進むなかで取り組んだことは、新規業務受託担当という役割を設けたことです。新しく業務受託する際は、最初に新規業務受託メンバーが担当し、業務自体を進めやすいように手順を整理してマニュアルを作成し、他のメンバーに引き継ぐという体制を作りました。
今まで受託したことのない内容の業務や難易度の高い業務を受ける場合も、この体制であれば業務の種類や数が広がり、今では約360種類の業務を切り出すまでに至っています。
また、この体制によりサポートスタッフをフォローする社員の負担も大きく軽減することができました。

業務切り出しの際にした工夫はありますか?の画像

雇用が拡大する中で起こった問題はありますか?

本社に機能を移してから、サポートスタッフをフォローする社員は、個人の業務・労務管理をトータルでフォローをしていましたが、雇用数が増えるにつれて負担増加が深刻化したことです。
サポートスタッフをフォローするにあたって業務面や労務面での管理、週に一度の振り返り面談などの業務が人数分増えるだけでなく、フォローする社員は人事・総務等の本社業務も兼任していたため、負担がどんどん増えていきました。
この体制ではサポートスタッフをフォローする社員の手が足りないため、雇用数を増やしたくても難しい状況でした。

どのように問題を乗り越えたのでしょうか?

いかに支援レベルを落とさず負担を軽減し、雇用拡大ができるかを考えた結果、主に勤怠や労務まわりの対応を行う労務担当と、実務面の対応を行う業務担当とでタスクを分業する体制を取り入れました。
雇用の規模感に適した体制を取ることが大事だと思いますが、この体制は現在の当社の規模感では最適だと捉えています。

どのように問題を乗り越えたのでしょうか?の画像

その他に、障がい者雇用を推進するなかで新しく取り組んだことはありますか?

これまで当社の障がい者雇用枠には昇給制度がありませんでしたが、2023年度から評価・昇給制度を正式に導入しました。年度で3つの業務目標を設定して進捗・達成度を3か月に一度の頻度で確認する面談を実施しています。障がいを持った方は変われない、変化を好まないと言われることが多いですが、当社は変わることがゆっくりなだけだと捉えています。
当たり前ですが、業務に貢献しつつ社員自身も成長してほしいと思っています。少しプレッシャーを受けている社員もいますが、メンバーからは概ね好評です。

最後に、障がい者雇用を推進した結果、良かった点と今後の展望を教えてください。

良かった点は、障がいを持った方は個別性がより顕著なため、能力発揮や成長に繋げるためにはどうすればいいかを意識しながら接する視点が増えたことです。この視点は障がいのある方に限った話ではなく、健常者も含め、タレントマネジメントに取り組むなかでとても大事にしたいと思っています。
また、サポートスタッフの業務スキルの認知度や実績が上がり、社内における業務の受託拡大に繋がったことで社内全体の効率化へ貢献できていることも良かったと思います。

今後の展望は、サポートスタッフがよりスキルを発揮し、自立・成長できる状態を作りたいと考えています。例えば、サポートスタッフ同士でビジネスマナーや情報セキュリティ、業務面、健康管理等の研修を行い育成に取り組んだり、多様な業務の中からより適正がある業務をマッチングしたり、会社への貢献度を高めていきたいです。

安定就労には「変わらない」環境も大事です。一方で、やりがいのある継続就労には「変わる」ことも重要だと考えています。そのために、新しい役割に挑戦できたり、日々の振り返り面談や評価制度を活用したり、少しずつ変化を起こし成長を促進していきたいです。
そして、計画的に人材採用と受託業務の拡大を行い、社内・社外に貢献すると共に、雇用取組の認知度をさらに向上させていきたいと思います。

ワークリアとは

ワークリアは、障がい者専門の人材紹介サービスと障がい者雇用にまつわるコンサルティングサービスを運営しております。
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