集合配置型から拡散配置型へ一転し雇用拡大へ

集合配置型から拡散配置型へ一転し雇用拡大へ

ミュゼプラチナムでは、これまでの取り組みが評価され、2018年に東京都産業労働局が主催する「平成30年度障害者雇用エクセレントカンパニー賞」を受賞しました。さらに、2020年には東京都の「心のバリアフリー」サポート企業に登録。
全国の店舗数185店舗のうち、104店舗に障がい者社員を拡散配置型で雇用しており、雇用率も3.47%と達成。(2024年3月時点)
今回は、障がい者雇用の採用を担当している村田さん、須田さんにインタビューしました。

村田さん(株式会社ミュゼプラチナム 人事部人事課 課長)

2008年にミュゼプラチナムに入社。3,000名を超える社員の入退社手続きから健康診断管理、人事システム導入等の業務を行いながら、障がい者雇用業務にも携わる。現在は、美容脱毛業界最大手として業界内での障がい者雇用普及を目指し、自社の雇用モデルの発信や雇用環境の整備などダイバーシティ推進に従事。平成30年度、東京都のエクセレントカンパニー賞を受賞。

須田さん(株式会社ミュゼプラチナム 人事部人事課 主任)

2009年にミュゼプラチナムに入社 人事部採用課にてエステティシャンの採用を担当。2020年4月人事部人事課へ異動。障がい者雇用担当として、応募者対応・入社後のフォローを行っている。

障がい者雇用を本格的に進めていったきっかけと、当時の方針を教えてください。

 

以前より障がい者雇用を進めていたものの、2009年頃より社員数が500名から3000名を常に超える状況になったことをきっかけに、本腰をいれて障がい者雇用を始めました。当時の法定雇用率は、社員数増加の影響で膨大な数字を追うことになったのにも関わらず、知識が全くない状態でのスタートだったので、非常に大変でした。
雇用当初は、元々本社のあった福島県の郡山で身体障がい者を中心に雇用し、事務補助を担当していた状態でした。その後、私(村田さん)が障がい者雇用を担当することになってからは、東京の本社にて雇用を進めていく方針になりました。

では、事務職から現場(店舗)でお仕事を任せる方針になったのはなぜでしょうか。

東京で障がい者雇用を始めてからは、全体の社員数が3,000名以上とどんどん増えていたのにも関わらず、当時の障がい者社員は本社の事務職として15名しか雇用しておりませんでした。雇用率達成のためには、本社で100名ほど障がい者を雇用する必要がありましたが、急拡大している状況から難しいと判断し、下記2点のどちらかの手法で考えていく必要がありました。

  1. 1.サテライトオフィスなどの集合配置型の雇用
    2.全国の現場店舗へ拡散配置型の雇用

2点を同時に検討していく中で、試験的に全国の店舗へ拡散配置を導入していたところ、現場からは非常に評判がよく、次第に他の店舗からも「ぜひ自分たちの店舗にも受け入れたいです!」と声があがりました。理由としては、障がいのある社員がバックヤードの仕事に従事することで、エステティシャンが以前よりもお客様への接客に専念できる時間が増えたことがあげられました。会社としても、会社の方針である「チーム主義」という価値観から個々で活躍する形ではなく店舗の一員として活躍できると考え、拡散配置での雇用を採用し拡大していくこととなりました。

では、事務職から現場(店舗)でお仕事を任せる方針になったのはなぜでしょうか。の画像

現場(店舗)での採用に切り替わり、どのように雇用制度を整備していったのでしょうか。

 

雇用制度の整備として、大きく2点を行いました。

①「店舗管理係さん」という役割を与え、店舗へ発信
2011年頃より店舗管理係さんという役割を担っていただくことになってから、店舗管理係さんのいる店舗に、ヘルプで来ていたエステティシャン社員の口コミにより、次第に他の店舗へも店舗管理係さんの存在や重要性が広がっていきました。さらに、全店舗に浸透するよう、店舗管理係さんの役割について店長会議でお知らせしました。
また、エステティシャンと店舗管理係さんの制服を判別することで、ヘルプで勤務しているエステティシャン社員が、お互いの役割を認識しながら効率よく業務ができるようになりました。その結果として、現場社員やお客様からも満足していただけるような仕組みを確立することができました。

②全店舗共通のマニュアルを作成
店舗管理係さんの業務がスムーズに進むよう、全店舗共通のマニュアルを作成しました。マニュアルの内容は、店舗で勤務する上でのルールや仕事内容を記載し、写真も含めわかりやすく整えました。仕事内容には水場での作業もあるため、マニュアルをラミネートして濡れても管理ができるように作成しました。
 

 

拡散配置型の雇用を続ける上で、大切にしていることはありますか。(現場目線や人事担当者の目線でも可能・採用や雇用管理、定着における点など)

まず、障がい者社員のフォロー体制に力をいれています。主に店舗の担当者が採用から入社後フォロー、退職サポートまで一貫した体制をとっています。必要なタイミングで本社の人事も介入しサポートしていますが、定着してきたタイミングで、店舗側の方がより状況の把握ができることから、店舗ごとで障がい者社員のフォローと管理をお任せしています。
次に、「障がい者社員を採用する」という捉え方ではなく、「店舗管理係さんはチームの一員である」という姿勢で採用をしていることです。
もちろん面接時に診断名や症状についてお伺いしますが、それらの店舗の受け取り方としては「得意不得意がある」という捉え方が自然とできています。チーム主義で店舗の運営を目指す方向性のため、「障がい者」というくくりではなく、「社員の特性」として受け入れることができています。また、店舗管理係さんは1店舗に1名の配置となっているため、孤独感を感じさせないような工夫もしています。具体的には、障がいのある社員には毎週週報を書いていただき、現場が週報にコメントをすることで、孤独感を除くことや体調のアラート、勤務している中での意見などを拾うことができています。それらに加えて、離職を防ぐためにも、細かく勤怠の確認をしています。少しでも心配な方がいらっしゃれば、本社から店舗にヒアリングを行い、状況の確認と今後の動きについて確認を行っています。万が一、体調の改善が見られない場合は、支援機関の担当者にフォローしてもらうよう連携を徹底しています。

現在、障がい者採用がうまくいくよう、工夫していることはありますか??

採用面接の際には、必ず2点を確認しています。1点目は、自分の状況が受容できているかどうかという点です。障がい者雇用枠で勤務する中で、自身の障がいへの理解や対処法、症状が出る前のアラートなどの言語化が出来ているかなど確認しています。2点目は、身だしなみが清潔であるかという点です。当社が美容の会社であることとお客様の前に出る場面もありますので、採用基準の必須項目として見ています。
求人に関しては、年齢幅を広げて募集しています。そのため年齢幅問わず、様々な方にご応募いただいています。求人票の福利厚生では、社内の化粧品を社員価格で購入できることや、脱毛ができることについても記載しており、女性の方に喜んでいただけそうな内容を記載しています。また、掲載写真の様子から、清潔感が必須だと伝わる写真を選ぶことで、お互いのミスマッチを防いでいます。

・求める人物像は、「キレイに興味がある」こと
・仕事内容には、「女性専用美容脱毛サロン内での業務」
・待遇・福利厚生は、「有名ブランドコスメ最大80%OFF、全身美容脱毛が20%OFF、まつげエクステ1500円OFF」

※求人票に記載してある一部を抜粋

現在、障がい者採用がうまくいくよう、工夫していることはありますか??の画像

障がい者雇用をした結果、よかった点はありますか?

実際に、お客様の前で業務していただく点に多少の不安感がありましたが、お客様より「ご挨拶を丁寧にしていただける」といったうれしい声をいただけることや、エステティシャンの業務効率の改善ができたことを含めても雇用してよかったと感じています。
また、健常者の社員が、障がいのある社員を店舗の一員として育成やフォローしてくれている点が嬉しいなと思います。さらには、障がいのある社員がミュゼに来て働くことを、生きがいにしてくださっているといったお話もお伺いするので、本当にやっていてよかったなと思います。

最後に、今後の展望をお願いします。

今後は、障がい者社員の配置がまだできていない店舗への採用に力を入れていきたいです。障がい者社員数や雇用率のためではなく、店舗の戦力として採用し、店舗の売上やエステティシャンの業務効率、働き方について満足いくような状態にしたいと思っています。
また、サービス業や美容業界は、なかなか障がい者雇用に手が届かないことや、やりたくてもなにから始めていいかわからないといった企業も多いように感じます。
サービス・美容業界でも障がい者雇用をすれば「生産性があがる」「サービス・美容業界でも実現可能である」といったことを伝えていくと同時に、これから障がい者雇用を始める企業のお役に立てるように、弊社の事例をどんどん広めていきたいです。
 

 

ワークリアとは

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