気分障害とは?雇用する上で知っておくべき、障がい特性と対処方法をご紹介
2022/02/02
気分障害について知りたい方に向け、具体的な症状や一緒に働く上での配慮事項などをご紹介します。気分障害は長期間にわたり気分の浮き沈みがある状態を指し「うつ病」や「双極性障害」が当てはまります。それぞれの対処法を知り対応できるようにしておきましょう。
気分障害とは?
気分障害とは、気分の浮き沈みが長期間続く状態を指します。気分障害は大きく2種類に分けられ、うつ状態が続くものを「うつ病」、躁状態とうつ状態を交互に繰り返すものを「双極性障害」と呼ぶのが特徴です。これらは同じ気分障害でも、治療法は全く異なります。
また、原因についてははっきりとしたことが解明されていません。どちらも「脳の伝達物質の問題」「遺伝」などさまざまな要因があげられますが、元々の本人の性質と、ストレスや環境をはじめとするその他の要因の組み合わせにより発症することが多いようです。
気分障害の症状
ここでは、気分障害の症状について解説します。うつ病と双極性障害には似たような症状があり、「うつ病と診断された人が実は双極性障害だった」と発覚することが多々あるため、ぜひ参考にしてください。
うつ病の症状
うつ病の症状は、精神的・身体的ストレスによって脳がうまく働かなくなり、日常生活に支障がでるほど気分が落ち込むというもの。思考や行動に影響が出て、物事をネガティブにしか考えられなくなったり、外出できなくなったりします。また判断力、記憶力などの脳機能の低下といった症状も見られるようです。
具体的な症状
具体的な症状には、以下の例が挙げられます。
・気分の落ち込み、空虚感
・好きだった物事に興味が持てない
・睡眠障害
・疲労感
・食欲減退、体重減少
・決断力、判断力、記憶力、集中力の低下
・原因不明の頭痛、腹痛、腰痛などの身体の痛み
※薬の副作用を除く
このように、うつ病は精神・肉体症状が顕著に表れることが多いようです。
双極性障害の症状
双極性障害の症状は、活発な時期である「躁状態」と、憂うつな気分になる「うつ状態」を繰り返すというもの。どれくらいの期間で躁状態とうつ状態が入れ替わるかは、その人の性質や周囲の環境によって異なります。
なお、双極性障害はそれぞれの状態の程度と期間により「双極性障害Ⅰ型」と「双極性障害Ⅱ型」に分けられる点も特徴といえるでしょう。
たとえば、双極性障害Ⅰ型は躁状態が1週間以上続くことが多く、その症状も周りから見ると別人と思われるほど「明るい」「活発」「怖い」と感じられるようです。躁状態とうつ状態の反動が激しく、入院が必要となる人も多い傾向にあります。
一方、双極性障害Ⅱ型は「軽躁」と呼ばれるほど躁状態が軽く、うつ状態の期間が長めなため、本人も周囲の人も症状の変化に気づきづらい傾向が。うつ状態が長めであることから、うつ病と間違えられやすく、入院するほどの反動がなくても危険を伴いやすいともいわれています。
躁状態の具体的な症状
躁状態の場合、以下のような症状が出ることが多いようです。
・怒りやすくなる
・気が散る、ソワソワする
・衝動的に行動する
・浪費が激しくなる
・気分が爽快である
・寝なくても平気になる
・疲れを感じなくなる
・よくしゃべるようになる、早口になる
双極性障害におけるうつ状態の具体的な症状は、先にご紹介した「うつ病の具体的な症状」と同じです。
気分障害の方と働く上で必要な配慮とは
気分障害があっても、本人に就業意欲があり、企業側も以下のようなフォロー体制を築いているのであれば、障がいのない人と比べても遜色ない活躍が期待できるでしょう。
業務体制における配慮
業務においては、以下の点に配慮すると良いでしょう。
傾聴すること
気分障害の方は、接している相手の言動に敏感になっています。「冷遇されている」と感じられると、心身への影響が出る可能性はゼロではありません。相手の話を聞いている最中の態度やボディランゲージなど、「あなたの話をきちんと聞いているよ」ということが伝わる姿勢を意識しましょう。
共感すること
説教や過度なアドバイスをするとうつ病の人は「否定された」と感じてしまうことも。話を聞くときは「そう思ったのですね」と共感を示しましょう。
通常通り接する
大げさにほめたり、心配したりすることでかえってストレスになることがあるようです。本人も周りの社員も、特別扱いをよく思わない人もいます。できるだけ通常通り接することを心がけましょう。
人事・労働面における配慮
2011年に独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構が発表した「精神障害者雇用管理マニュアル」によると、精神障がい者の雇用に関して人事の配置転換や通院・服薬管理、労働時間などへの配慮を行う事業は多いとされています。
配置転換等人事管理面についての配慮
本人の特性や症状にあわせて、柔軟に配置を行うことで、気分障害のある方も長期的な雇用が見込めると考える企業は多いようです。
通院・服薬管理等医療上の配慮
うつ病や双極性障害は、服薬・通院・カウンセリングなどにより症状が良くなっていきます。主治医や本人、ご家族とも相談しながらケアや業務への対応をしていくと良いでしょう。産業医を設けていると、密な連携を図りやすく具体的な対応を取りやすいといえます。
短時間勤務等時間の配慮
労働時間の調整をすることでプレッシャーや身体的な負担を減らすのも有効な方法です。「長時間勤務しなければならない」というプレッシャーや身体面への負担がないだけで、気持ちにゆとりができるでしょう。
支援担当者を決めておく
企業内に、気分障害のある方を支援する担当者を配置しておきましょう。日頃から様子を見るのはもちろん、定期的な面談を行うことで精神的な負担を軽減し、本人の気分の浮き沈みを抑えられる可能性があります。
本人とどのように業務を行っていきたいか相談する
業務内容や量などに問題がないかは、こまめに確認すると良いでしょう。特に勤怠に影響が出ている方の場合、業務内容や仕事量、勤務時間、職場環境などどれかにおいてストレスを感じており、心身に影響が出ている可能性があります。
採用後に気分障害になった場合の配慮
採用してから労働者が気分障害になったという場合は、以下の点に配慮すると良いでしょう。
職場復帰準備期間中の雇用継続
本人に職場復帰の意欲がある場合は、主治医やご家族などとも相談したうえで雇用継続をします。本人や主治医などと適宜情報交換をし、症状の経過や現在の状況を把握しておきましょう。
配置転換等人事、管理面についての配慮
職場復帰の際は、無理のない勤務条件や職種、業務内容を整えておく必要があります。特に以前と似たような環境に配置すると再発の恐れもあるため、できるだけ異なる環境へ配置する、本人の要望に合う配置転換を行うといった対応をするのがベターです。
参照元
独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構
「精神障害者雇用管理マニュアル」
まとめ
うつ病の治療は長期間かかり、双極性障害は「完治」はしない一生の付き合いになる障がいです。環境やストレスによって精神面・肉体面に影響が出るため、雇用する際は気になる方もいるかもしれません。しかし、気分障害のある方も安心して長期的に仕事に取り組めるよう、相手を尊重した声掛けやサポートをすることで、期待以上の活躍をしてくれる可能性は十分あります。
ワークリアでは、気分障害を含む障がいのある方への対応方法や環境整備などの支援を実施。障がい者雇用に興味をお持ちの企業様は、お気軽にお問合せください。
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