250人以上の雇用に成功し、社内全体に障がい者を派遣

250人以上の雇用に成功し、社内全体に障がい者を派遣

障がい者雇用の理解を社内全体に浸透させ、各部署への配置を成功させているジブラルタ生命株式会社。受入部署と障がいのある従業員がWin-Winの関係を構築できています。今回は、令和5年度障害者雇用エクセレントカンパニー賞ならびに障害者雇用優良事業所等表彰を受賞したジブラルタ生命株式会社の山田さん、菅さんにインタビューしました。

ジブラルタ生命株式会社

ジブラルタ生命株式会社は、世界最大級の金融サービス機関であるプルデンシャル・ファイナンシャル・グループとして2001年4月に営業を開始しました。個人保険、個人年金保険、団体保険、団体年金保険、再保険を手掛け、日本全国47都道府県の営業拠点を通じ、ひとりでも多くのお客さまに真の生命保険をお届けします。

山田さん

同社で保険の営業職、営業部門の管理職を経て、現在の障がい者雇用部門へ異動。
当初は障がいのある社員の育成や管理を行い、現在は採用をメインに担当。実際に働いている障がいのある社員と関わったことをきっかけに、応援したいという気持ちが芽生え自らの希望で異動をされている。

菅さん

同社の財務報告部門で主に監査系の仕事をおよそ10年経験したのち、2022年10月に障害者雇用部門へ異動。自分の将来的なキャリアを考えた際、障がいのある方とも一緒に仕事をして、人材の育成に力をいれていきたいと考え自ら異動を決意。

障がい者雇用を始めたきっかけはありますか?

元々は、法定雇用率の未達がきっかけです。法律なので未達のままではやはりいけないと思い、本格的に動き出しました。実際に障がい者雇用を始める前に、どの障がい種別を採用していくか、どのような仕組みで雇用を進めていくか等、企画をしていったことが始まりです。

雇用当初の方針や方向性で雇用を進めていったのでしょうか。

経験があったり即戦力でバリバリ働ける方ではなく、職業準備性が最低限整っていて就業意欲はあるが機会がない方を採用ターゲットとしました。まずは社内で3年間という期間を決めて育成をし、社会に送り出すという体制を作りました。3年間で育てて社会に輩出するということを繰り返すことで、社会的により多く障がいのある方に雇用の機会を提供できると考えたからです。

また、障がい者種別は、精神・発達に障がいのある方を中心に採用していくことにしました。というのも、当時は精神・発達障がい者は社会的に働く場が少ないという課題があると考えたので、そこを先駆けて当社のほうで進めていきたいという思いがあったからです。

現在は、”継続雇用”という形で3年後も社内で働くという選択肢も取れるようにしています。ただ、3年間で可能な限り社会で活躍できる人材を育成していくという方針は変えずに、障がい者雇用を進めています。

採用がこんなにも上手くいっているのはどうしてですか?

支援機関と広く深く連携をとるようにしてから応募数を増やすことができました。支援機関が開催する見学会などにも進んで参加をしていました。さらに、支援機関と深く関係構築をするために始めたものがインターンシップ制度です。当社は、個人情報や機密情報を扱う金融会社ですので、入社前の方に業務をしてもらうことは少々ハードルが高いように感じていました。そこで開始したのが、1dayインターンシップです。本来であればもう少し長いスパンで行うことが多いと思うのですが、当社なりに考えたのが1日限定のものでした。月に2回程開催していますが支援機関からのニーズが高く、参加された候補者から多くの応募を頂いています。

1日のスケジュールは、社員が実際にやっている業務をモチーフにしたダミー業務を経験してもらうことや会社説明と1日の振り返り面談、当社の障がいがある社員との座談会に参加してもらうことです。会社説明は、会社の文化や雰囲気などより具体的な話を盛り込み、入社後のイメージがつきやすいようにしています。実施後に毎回アンケートを取っていますが、好評価の意見を多く頂くことができています。

また、採用ができてもすぐに退職になってしまっては雇用数を伸ばせないので、定着率の強化も図りました。当社はジョブコーチの認定を受けたサポートスタッフが取りまとめるユニット制を取っていて、きめ細かなサポートを実現しつつ障がいのある社員同士がお互いにフォローができる体制を作りました。ユニットでの取り組みは、定期的に議題を決めてミーティングをしてもらったり、交流機会を設けたりするようにしています。そうすると人数が多くても、問題や異変があった際はメンバーの誰かしらが気付くことができる体制を作れるので、退職に至る前に対処ができているのではないかと思います。

採用がこんなにも上手くいっているのはどうしてですか?の画像

雇用が拡大する中で起こった問題はありましたか?

雇用数を伸ばすことができた一方で、任せる業務が足りなくなってしまったことです。既存社員もいる中で、プラスで採用した方の業務がどうしても足りなくなったことがありました。

どのように問題を乗り越えたのでしょうか?

社内の各部署へ障がいのある社員を派遣する体制を構築しました。基本的には、障がいのある社員は集合配置をし、他部署の業務を遠隔で行っていたのですが、そうすると個人情報や機密情報の取り扱いの観点で、業務を切り出せないケースもあったのです。なので、業務を部署外に持ち出すことができないケースに対応するため専任の社員を派遣し、雇用の幅を広げていきました。入社後まずは集合配置の環境で働いてもらっていますが、数か月後は社内の各部署へ派遣し障がいのない社員に混ざって業務をしてもらっています。
受け入れ側の社員の反応は意外と悪くなく、むしろ感謝の言葉をもらえることが多いです。

また、障がいのある社員が各部署で業務を行った場合と外部から雇用や発注をした場合のコストを算出し、社内の障がいのある社員が対応することによりどのくらいコスト削減効果があるのかを提示することによって業務の獲得に繋げています。

障がい者雇用をした結果、良かった点はありますか?

実直に一生懸命働いてくれる方が多いので、一緒に働いている障がいのない社員を前向きにさせたり、良い影響を与えることができているのではないかと思います。会社としてのメリットとしては、事務業務を社内で補うことができるため人件費の削減ができる点、ダイバーシティ&インクルージョンが求められる時代において、会社の評判やロイヤリティに貢献できる点かと思います。また、当社の社員の障がい者雇用についての理解が深まったことは、社会的にも良かったのではないかと思います。

最後に、今後の展望を教えてください。

さらに職務開発を進めていきたいです。現在は、本社を中心に営業サポートをしていますが、当社は全国的に営業所があるので、将来的には本社に留まらずに各地の営業所の事務業務をサポートすることで更に会社に貢献したいと考えています。

また、地域への貢献をもっとしていきたいと考えています。例えば、行政と協力して法定雇用率が未達の企業様を支援したり、社外の関係者の方々と連携し、社会的に障がい者雇用が進んでいくような取り組みをしていきたいです。
障がい者雇用は一企業だけでできていても社会全体に広げることは難しいと思っているので、当社も参画し地域全体の活性化を図っていきたいと考えています。

ワークリアとは

ワークリアは、障がい者専門の人材紹介サービスと障がい者雇用にまつわるコンサルティングサービスを運営しております。
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