育成・教育体制を強化し、障がい者雇用を拡大させる
2023/12/18
コニカミノルタグループには、社員の成長を支援する、様々な人財育成・開発制度があり、それは障がい者雇用の領域においても同様に捉えられています。今回は、コニカミノルタ株式会社の特例子会社である、コニカミノルタウイズユー株式会社の代表取締役社長である東野村さん、人事総務部長の岩田さんにインタビューしました。
コニカミノルタ株式会社
コニカミノルタ株式会社は、2003年にコニカとミノルタが経営統合して誕生しました。祖業であるカメラ、写真フィルムで培ってきた4つのコア技術「材料・画像・光学・微細加工」を進化させ、現在はインダストリー事業、ヘルスケア事業、プロフェッショナルプリント事業、デジタルワークプレイス事業で、世界150カ国に製品・サービスを提供するグローバル企業です。
コニカミノルタウイズユー株式会社
2013年11月、特例子会社として認定。コニカミノルタグループの経営ビジョンである「グローバル社会から支持され、必要とされる企業」の実現を果たすべく、障がい者の方々の雇用を通じてその自立を支援する目的で設立されました。
東野村さん
コニカミノルタウイズユー株式会社代表取締役社長。1986年ミノルタカメラ株式会社(のちのミノルタ株式会社)に新卒で入社。コニカとミノルタの統合後、人事総務部門を経て、2017年10月、コニカミノルタウイズユー株式会社の社長に就任。就任後は人財育成関係の制度設計等を推進。現在でも雇用における仕組み作りに携わっている。
岩田さん
コニカミノルタウイズユー株式会社設立2年目に入社し、現在は人事総務部長。入社後は、現場の定着支援をするチームで教育、障がい者雇用の管理を担当。前職は、住宅設備機器メーカーで商品企画等を経験。その後は、縁あって障がい者就労生活支援センター、精神科病院でサポートの経験をされ、次は就労についてのサポートがしたいという思いから同社に入社している。
障がい者雇用を始めたきっかけはありますか?
コニカミノルタグループは国内に約20社あり、元々、各社で障がい者雇用をしていました。しかし、当時の人事担当は障がい者雇用について十分な知識がなく、そこに割ける労力もないという状態だったので、法定雇用率が上がっていくなかで雇用を拡大していくということは難しいものでした。
そのような状況の中、コニカミノルタ株式会社の人事担当役員が、障がい者雇用をより積極的に捉えていこうという方針を掲げ、障がい者雇用に適した制度や仕組みを作っていくために特例子会社が設立されることになりました。
雇用当初の方針や方向性は何でしたか?
当時の障がい者雇用の考え方は、その人の特性を早期に見つけ、それにあった仕事を任せるというものでした。当社の場合、3年間で様々な業務を経験する中でその人の新たな可能性を見つけ、成長を促進するという方針にしました。
障がい者の社員も通常の社員と同様、ずっと同じ仕事をするとなると飽きてしまったり、成長を感じられずモチベーションが低下したりすると考えたので、少し難易度が高い業務も任せるなど、成長の機会があることでやりがいを持って仕事をしてもらいたいという思いから制定しました。
また、特例子会社という1つの枠組みで障がい者雇用をした時に、そこの会社で何をやっているか分からないという状態は避けたいという考えがありました。なので、コニカミノルタグループの社員と接点がある業務や、グループ社員が本来の業務により集中できるようにサポートするような業務を対応してもらうことにしました。障がい者雇用が広まったことで同グループの社員がより働きやすくなったり、生産性を上げることができるような事業をすることを目的としています。
これらの方針は、特例子会社を設立する前に設立準備室というチームを立ち上げ、色々な特例子会社や国立職業リハビリテーションセンターの見学を行いアドバイスを頂いたうえで確立していきました。
また、コニカミノルタグループ全体で人財育成に力を入れているので、それは障がい者雇用の領域においても変えずに行うという方針もありました。
障がい者雇用における育成はどのように取り組まれているのでしょうか。
入社後に成長していける仕組みとして、3年間は共通のプログラムで社会人としての土台を作り、4年目以降はコース別のプログラムを設け、キャリア形成を図る制度を作りました。
入社してからの3年間では、本人を中心とした支援体制を構築し様々な業務に挑戦してもらっています。業務への取組状況(よく出来ている点・更に伸ばす課題点等)や今後の目標を、5者(本人・ご家族・支援センター・卒業校・会社)で共有し、意見交換を行う「5者面談」を年1回実施しています。
4年目以降のコース別プログラムは、入社後3年間の業務の状況や本人の志向を踏まえコースを決定しています。
障がい者雇用を進めていくなかで起きた問題はありますか?
採用人数が増えるに伴い業務が足りなくなってしまったことです。きめ細かなフォローができるかどうかの観点で、業務創出をしていたため、これ以上創出することが難しくなった時期がありました。サポート体制が手厚過ぎたために責任感や自主性、積極性が課題になってしまっていたかと思います。
どうやって問題を乗り越えていったのでしょうか。
まずは、障がい者社員の指導員にヒアリングを行いました。すると、中には対応力の高い社員もいるので、その社員たちに成長する機会を与えられていないのではないかという声が上がりました。福祉に寄りすぎず、企業としての業務にシフトしていったほうが社員が成長していけるのではないかと考えている指導員が多くいたのです。
それからは、領域を拡大させ、より事業に直結するような業務をグループ内から切り出して任せるようにしました。
また、グループ内の販売会社と連携して、外部から利益が生まれる業務へと転換していくようにしています。
最後に、障がい者雇用をしてよかった点や今後の展望を教えてください。
前向きに取り組んでくれる方が多いので、障がい者社員を配置した部署の雰囲気が良くなったことです。成長意欲も高いので、こうして業務領域を拡大し、利益を生みだせる取り組みもできています。そのような姿を近くでみている社員は様々な気づきがあり、関わる社員を成長させてくれる存在にもなっています。
また、会社のブランドイメージの向上にも繋がっているのではないかと思います。コニカミノルタグループは、お客様との顧客接点を強化することを重要としています。お客様が当社を身近に感じてもらい、良い印象を持ってもらえるという点においては、グループ全体に価値を出せているのではないかと感じます。
今後の展望としては、障がい者雇用の領域で培ったきめ細かなマネジメントのノウハウをグループ全体に共有していきたいと思っています。その人の特性や個性を丁寧に見たうえで育成するということは、障がい者雇用に限らず重要だと感じているので、グループ全体に伝えていきたいです。
ワークリアとは
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