特例子会社とは?設立要件やメリット・デメリットなどを解説!

特例子会社とは?設立要件やメリット・デメリットなどを解説!

特例子会社の設立に悩む担当者へ。特例子会社の認定条件やメリット・デメリット、認定に必要な書類などをご紹介します。このコラムを読んで特例子会社がどのような会社か理解し、必要な条件を把握したうえで、申請を検討してみましょう。

特例子会社とは

特例子会社とは、障がい者雇用の促進および安定を図るために、障がい者雇用に特別の配慮をした子会社を指します。2009年4月に創設された制度で、特例子会社を設立するには厚生労働大臣の認定が必要です。認定を受けると、親会社が運営するグループ会社の全従業員が、親会社による雇用とみなされます。法定雇用率の算定においても、特例子会社の全従業員が親会社の障がい者雇用数として算定されるのが特徴です。
特例子会社は年々増加傾向にあり、障がい者に対するサポート環境の整備に力を入れるところも増えてきました。特例子会社制度の詳細は、厚生労働省作成の資料をご確認ください。

参照元
厚生労働省
「特例子会社」制度の概要

特例子会社の認定条件

厚生労働大臣から特例子会社の認定を受けるには、一定の要件をクリアする必要があります。親会社と子会社の認定条件は、以下のとおりです。

親会社

・子会社の意思決定機関を支配していること(例:株主総会)

子会社

・株式会社であること
・親会社との人的関係が緊密であること(親会社からの役員派遣や従業員出向など)
・雇用される障がい者が5人以上で、全従業員に占める割合が20%以上であること
また、雇用される障がい者に占める重度身体障がい者、知的障がい者及び精神障がい者の割合が30%以上であること
・障がい者の適正な雇用管理を行う能力を有していること(施設改善や専任指導員の配置など)
・障がい者の雇用促進及び安定が確実に達成されると認められること

特例子会社の設立を検討している方は、上記の条件を満たしているか事前に確認しておいてください。

特例子会社設立のメリットとデメリット

ここでは、特例子会社を設立することによるメリット・デメリットを紹介しています。特例子会社の設立を考えている方は、両者を比較したうえで後悔のない選択をしましょう。

メリット

特例子会社設立のメリットは以下の3つです。

設備投資への集中によりコストを軽減できる

特例子会社に設備投資を集中できるため、それぞれの職場で環境整備を行うよりもコストを軽減できます。

法定雇用率が達成しやすくなる

特例子会社の従業員は、親会社の障がい者雇用人数としてカウントされるため、法定雇用率が達成しやすくなります。

障がい者の能力を引き出しやすくなり生産性が向上する

障がいの特性に配慮した業務を任せられたり、障がいに適した職場環境を整備できたりするため、一人ひとりの能力を引き出しやすくなり、生産性も向上しやすいです。

デメリット

特例子会社設立のデメリットとしては、以下の3つが挙げられます。

親会社の障がい者雇用に対する意識が薄れる

障がい者雇用を特例子会社に任せてしまいがちになり、障がい者雇用に対する親会社の意識が薄れる可能性があります。親会社でも、障がい者雇用へ意識が向くような工夫や取り組みを行うことが大切です。

キャリア形成が限定的になりやすい

特例子会社自体の業務範囲が狭く、障がい者のキャリア形成が限定的になりやすいのもデメリットです。親会社と連携して上手く業務を切り出したり、新しい業務を生み出したりすると良いでしょう。

継続的に経営していくための仕組み作りが難しい

障がい者雇用の促進および安定を図りながらも、継続的に経営をしていくためには売上が必要です。しかし、特例子会社の業務は親会社のサポート業務が多くを占めるため、付加価値を生み出しにくい傾向があります。

特例子会社設立に必要なものは?

特例子会社を設立するには、申請書類や添付書類などをハローワークへ提出する必要があります。必要書類は大きく分けると以下の3つです。

・子会社特例認定申請書
・新事業主及び子会社の概要
・添付書類・確認資料

添付書類・確認資料には、以下のものが含まれます。

・親会社の直近の有価証券報告書(写)または附属明細書(写)
・子会社の株主名簿または出資口数名簿
・親会社の「障害者雇用状況報告書」
・申請日現在における親会社(当該子会社を含む)の「障害者雇用状況報告書」
・定款
・法人登記簿謄本
・親会社から派遣されている子会社の役員名簿(氏名、年齢所属、役職、入社年月日、親会社からの主な略歴)
・子会社の社員名簿(氏名、年齢所属、役職、入社年月日、親会社からの主な略歴)
・子会社の障害者雇入れ通知書(写)
・子会社の就業規則・給与規定など
・障がい者の職業生活に関する指導員の配置状況(障害者職業生活相談員の選任届など)
・親会社から子会社への障害者雇用促進及び経営安定のために講じている措置などに関する資料
・子会社の図面、案内図
・子会社の勤務中(または実習中)の写真

上記のように、申請手続きには非常に多くの書類が必要なので、計画的に準備を進めておくことをおすすめします。

まとめ

特例子会社とは、障がい者雇用の促進と安定を目的に、障がい者雇用に特別の配慮をした子会社のことです。法定雇用率を達成しやすくなるメリットがある一方で、障がい者のキャリア形成や業務範囲の拡大が難しいというデメリットもあります。特例子会社の設立を検討している方は、メリットとデメリットの両方を理解したうえで、事業主と障がい者の双方にとって最適な選択をするのが理想です。
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